はじめに
今日は、定年後再雇用における無期転換制度について、わかりやすく解説していきます。これからのキャリアを考える上でとても大切な話なので、最後までお付き合いくださいね!
無期転換制度とは?
まず最初に、「無期転換制度」についてお話ししましょう。
無期転換ルールは、有期労働契約(一定期間を定めた労働契約)が通算して5年を超えると、労働者が無期労働契約(期間の定めがない労働契約)に転換することを申し込む権利を得る制度です。これは、労働契約法第18条に基づいています。簡単に言うと、5年以上働いたら「ずっと働ける契約に変えてください」と言える権利ですね。

ポイント1:通算5年の計算
有期労働契約が通算して5年を超えたら無期転換の申込権が発生します。例えば、2020年4月に契約を始めて、毎年更新していくと、2025年4月には通算で5年を超えます。この時点で無期転換を申し込むことができます。
ポイント2:無期転換の申込権
労働者が無期転換を申し込んだ場合、会社はこれを拒否できません。申し込んだら、無期労働契約に転換されます。
ポイント3:無期転換後の労働条件
無期転換後の労働条件は、基本的には直前の有期契約と同じです。ただし、別の取り決めがある場合はそれに従います。
定年後再雇用と無期転換
では、定年後に再雇用された場合はどうなるのでしょうか?通常、定年後に再雇用された労働者も無期転換申込権が発生します。しかし、特例として無期転換申込権が発生しない場合もあります。この特例について詳しく見ていきましょう。
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高齢者継続雇用に関する特例
特例が適用されるためには、事業主が適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。認定を受けた事業主の下で、定年後も引き続き雇用される有期雇用労働者に対しては、無期転換申込権が発生しないのです。
特例の適用条件
- 事業主が適切な雇用管理計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けること
- 高齢者継続雇用のための計画があること
- 同一事業主に引き続き雇用される場合
ただし、定年後にグループ会社ではない別の会社に再就職した場合は、この特例の対象にはなりません。この場合、通常通り無期転換ルールが適用されます。

第二種計画認定・変更申請書の書き方
申請事業主の情報を記入する際のポイントを以下に示します。
1. 申請事業主の情報
- 名称・氏名: 事業主の正式名称を記入します。法人の場合は法人名と、個人事業主の場合は氏名を記入します。
- 代表者職氏名(法人の場合): 例えば、「代表取締役 山田太郎」。
- 住所・所在地: 郵便番号も忘れずに記入しましょう。
- 電話番号とFAX番号: 連絡先として有効な電話番号とFAX番号を記入します。
2. 雇用管理に関する措置の内容
1つ以上の該当する雇用管理措置にチェックを入れます。
- 高年齢者雇用等推進者の選任: 高齢者雇用を推進するための担当者を選任した場合。この担当者は高齢者の雇用に関する課題や問題に迅速に対応する役割を担います。
- 作業施設・方法の改善: 高齢者が働きやすいように作業施設や作業方法を改善している場合。
- 健康管理、安全衛生の配慮: 高齢者の健康管理や安全衛生に配慮した措置を講じている場合。
- 職域の拡大: 高齢者の職務範囲を拡大している場合。
- 職業能力を評価する仕組み、資格制度、専門職制度等の整備: 高齢者の職業能力を評価する仕組みや資格制度を整備している場合。
- 職務等の要素を重視する賃金制度の整備: 職務や能力に応じた賃金制度を整備している場合。
- 勤務時間制度の弾力化: フレックスタイム制や短時間勤務制度など、勤務時間の弾力化を行っている場合。
高齢者雇用確保措置の内容
1. 定年の引き上げ
企業が従業員の定年を65歳以上に引き上げることです。これにより、高年齢労働者が長く働ける環境を提供します。
2. 継続雇用制度の導入
企業が定年を迎えた従業員に対して、希望する全ての従業員に対して継続して雇用する制度を導入します。例外として、継続雇用の対象者を労使協定に基づいて限定する場合もあります。この場合、対象者を限定する基準(例:能力や健康状態)を明確にします。
認定申請のポイント
認定申請は本社・本店が行う必要があり、支店や営業所からは申請できません。また、特例の対象となる労働者がいなくても、将来的に対象者が生じる見込みがあれば申請が可能です。認定申請書の提出先は都道府県労働局です。
高齢者雇用確保措置に必要な書類
1. 高齢者雇用状況報告書の写し
これは、企業の高齢者雇用の状況を報告するための書類です。60歳以上や65歳以上の従業員の数、彼らの職種や労働条件などを詳細に記載します。企業全体の高齢者雇用の実態を把握するためにハローワークに提出するものです。この写しを提出します。
2. 定年引き上げ、継続雇用に関する就業規則の写し
企業が定年を65歳以上に引き上げた場合、継続雇用制度を採用した場合は、その内容を記載した就業規則の写しを提出します。これにより、企業が定年引き上げを実施していることを証明します。
3. 継続雇用制度に関する労使協定の写し
定年後も再雇用する制度を導入している場合、その詳細を記載した労使協定の写しを提出します。これは、定年後に希望する労働者全員が継続して雇用される制度が存在することを証明します。
4. 高齢者雇用推進者の選任に関する書類
企業が高齢者雇用推進者を選任した場合、その選任通知書や役割を明記した書類を提出します。これにより、高齢者雇用推進のための担当者が任命されていることを証明します。
5. 職業訓
練の実施計画書
高齢労働者に対する職業訓練を実施している場合、その訓練計画書を提出します。これには、訓練の目的や内容、実施方法、評価方法などが含まれます。
認定の要件
- 高年齢雇用確保措置の完了: 申請時点で高年齢雇用確保措置が完了していること。これは、第二種計画認定・変更申請書の2番・3番にチェックを入れる内容と同じです。
注意点
1. 他社での定年退職後に再雇用された労働者
特例の対象となるのは、その会社で定年に達し、引き続いて同一事業主に再雇用された労働者です。他社で定年退職し、その後に再雇用された労働者は、この特例の対象にはなりません。この場合、通常の無期転換ルールが適用されます。
2. 定年に達しない時点で無期雇用から有期雇用に転換された労働者
定年に達する前に無期雇用から有期雇用に転換された労働者も特例の対象外です。この場合、無期転換の権利は引き続き有効となります。
まとめ
以上が、定年後再雇用と無期転換制度に関する解説です。無期転換制度は労働者の安定した雇用を確保するための重要な制度ですが、高齢者の継続雇用に関する特例を理解して適切に対応することが必要です。企業としても、適切な管理措置を行い、労働局の認定を受けることで、高齢者の雇用をスムーズに継続できるようになります。
高齢者雇用の未来
高齢者雇用は今後ますます重要性を増していく分野です。企業は、高齢者が安心して働ける環境を整えるために、制度の導入や改善に努める必要があります。また、労働者自身も、自分の権利や制度を理解し、適切なタイミングで無期転換を申し込むことが重要です。
最後に
無期転換制度と高齢者雇用の特例について、しっかり理解することは、企業と労働者の双方にとって大切です。高齢者が持つ豊富な経験と知識を活かし、企業の成長と発展に貢献してもらうためにも、適切な雇用管理が求められます。
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