未払い賃金立替制度とは
未払賃金の立替払制度は、労働者とその家族の生活の安定を図る国のセーフティネットとして、企業倒産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づいて、その未払賃金の一部を政府が事業主に代わって立替払する制度です。
独立行政法人労働者健康安全機構が実施し、立替払を行った時は、その立替払金に相当する額について労働者の賃金請求権を代位取得し、事業主等に求償しています。
立替払いの受けることができる人
- 労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業で1年以上事業活動を行っていた事業主(法人、 個人は問いません。)に雇用され、企業倒産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者(労 働基準法第9条の労働者に限る。)であった方
労働基準法9条の労働者って何?
原則1人でも雇っていたら労働者になりますが、同居の親族や代表権がある会社役員、家内労働法による内職に従事する方は含まれません。
- 裁判所への破産手続開始等の申立日(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署長に対する事実 上の倒産の認定申請日(事実上の倒産の場合)の6か月前の日から2年の間にその企業を退職した方
(注)退職後6か月以内に裁判所への破産手続開始等の申立て又は労働基準監督署長への認定申 請がなされなかった場合は、立替払の対象とはなりません。 - 未払賃金額等について、破産管財人等の証明(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署長の 確認(事実上の倒産の場合)を受けた方

法律上倒産って何ですか?


破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要があります。

事実上の倒産ってなんですか?

この制度での事実上の倒産は中小企業事業主のみが対象です。 企業が倒産して事業活動が停止し、再開する見込みがなく、かつ、賃金支払能力がない状態に なったことについて労働基準監督署長の認定があった場合を言います。

事業活動の停止ってどういう状態のことですか?

事業場が閉鎖され、労働者全員が解雇されるなどにより、その事業本来の事業活動が停止し た場合をいいます。事業の廃止のために必要な清算活動を行っているに過ぎない場合は該当し ますが、事業規模を縮小してもその事業本来の事業活動を継続している場合は該当しません。

再開の見込みがないとはどういう状態ですか?

一般的には、事業主が事業の再開の意図を放棄し、又は清算活動に入るなどにより再開する 見込みがなくなった場合をいいます。

「賃金支払能力なし」というのはどういう状態ですか?

一般的には、事業主に賃金の支払に充てられる資産がなく、かつ、資金の借入れ等を行って も賃金支払の見込みがない場合をいいます。負債額が資産額を上回る、いわゆる債務超過であ ることのみでは該当しません。
対象になる未払い賃金
立替払の対象となる未払賃金は、労働者が退職した日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当のうち、未払となっているものです。いわゆるボーナスは立替払の対象とはなりません。また、未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象とはなりません。

立替払いの対象にならないもの
賞与その他臨時的に支払われる賃金、解雇予告手当、賃金の延滞利息、年末調整の税金の還付金、慰労金・祝金名目の恩恵的又は福利厚生上の給付、実費弁償としての旅費・用品代等は立替払の対象にはなりません。
定期賃金
ここでいう定期賃金は、毎月1回以上定期的に決まって支払われる賃金(例:基本給・家族手当・通勤手当・時間外手当等)で、所得税、住民税、社会保険料等法定控除額を控除する前の額になります。 |
退職手当
退職手当は、労働協約、就業規則(退職金規程)等に基づいて支給される退職金をいいます。事業主が、中小企業退職金共済制度等の社外積立の退職金制度に加入し、他制度から退職金が支払われる場合は、支払われる額の確定を待って、その額を差し引いた額が立替払の対象になります。
立替払いの手続き
事実上の倒産の場合
立替払請求者は、裁判所・以下の倒産の区分に応じた証明者に対して、立替払請求の必要事項についての証明を申請します
倒産の区分 | 証明 |
---|---|
倒産 | 破産管財人 |
特別清算 | 清算人 |
民事再生 | 再生債務者(管財人) |
会社更生 | 管財人 |
裁判所・破産管財人等証明者から証明書が交付されたら、立替払請求者は、「立替払請求書」及び「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申請書」に必要事項を記入し、証明書と切り離さないで機構に送付してください。
立替払請求の必要事項の全部又は一部について証明を裁判所・破産管財人等証明者から得られなかった場合は、立替払請求者は、労働基準監督署長に対して、証明を得られなかった事項について確認申請ができます。 |

事実上の倒産の場合の手続き
立替払請求者は、労働基準監督署長に対して、当該事業場が事業活動を停止し、再開の見込みがなく、かつ、賃金支払能力がない状態になったことについて認定の申請を行います。認定の申請は、その事業場を退職した立替払請求者が2人以上いる場合は、そのうちの1人が認定を受ければ足り、その効果は他の退職労働者にも及びます。
確認の申請
労働基準監督署長から認定通知書が交付されたら、立替払請求者は、労働基準監督署長に対して、立替払請求の必要事項についての確認の申請を行います。
確認通知書が交付されたら
労働基準監督署長から確認通知書を交付されたら、立替払請求者は、「立替払請求書」及び「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申請書」に必要事項を記入し、確認通知書と切り離さないで機構に送付してください。

立替払いの支払い
機構は、提出された「未払賃金の立替払請求書」を審査し、支払が決定した場合に、未払賃金立替払決定支払通知書(退職所得に関する源泉徴収票・特別徴収票を含む。)を請求者に送付し、請求者が指定した請求者本人名義の普通預金口座に立替払金を振り込まれます。
退職所得の控除
立替払金は、定期賃金分、退職手当分のいずれも、退職所得として取り扱われ、他の所得と分離して課税されます。ただし、退職所得については、下記のとおり、退職所得控除が認められていますので、立替払請求書下欄の「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」に記入がある場合は控除が受けられます。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下の場合 | 40万円X勤続年数 (80万円に満たない場合は、(80万円)) |
20年を超える場合 | 800万円+70万円X(勤続年数-20年) |

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