はじめに
近年、男性の育児参加が社会的にも重視されるようになりました。しかし、実際に育児休業を取得する男性はまだ多くありません。その背景には、育児休業による収入の減少が大きなハードルとなっているのが現実です。この問題に対処するために、静岡県では「男性育児休業取得応援手当」が設けられています。このブログでは、社会保険労務士として、この手当についてわかりやすく解説します。
男性育児休業取得応援手当の概要
この手当は、静岡県内の中小企業等に勤務する男性労働者が育児休業を取得することを促進し、夫婦共働き・共育て社会の実現を目指すための支援制度です。男性の育児参加を応援し、家庭内の役割分担の見直しを促します。
対象者
- 静岡県内に住所を有する方
- 常時雇用する従業員が300人以下の中小企業等に勤務している方
- 雇用保険の被保険者であること
支給要件
- 子の出生日または出産予定日から8週間を経過する日の翌日までの期間に、14日以上の育児休業を取得していること
支給額
- 支給額は、賃金日額×育児休業取得日数(上限28日)×13%で計算され、上限は5万円です。この計算により、雇用保険と社会保険料免除によって補われない休業前賃金の減少分をカバーします。
計算のステップを順を追って説明します。
- 賃金日額の確定: まず、申請者の賃金日額を確定します。
- 育児休業取得日数の確定: 育児休業を取得する日数を確定します。この日数は最大28日までです。
- 計算式による支給額の算出: 賃金日額と育児休業取得日数を元に、以下の計算式で支給額を算出します。支給額=賃金日額×育児休業取得日数×13%支給額=賃金日額×育児休業取得日数×13%
- 支給額の上限の適用: 計算された支給額には上限があり、その上限は5万円です。計算結果が5万円を超える場合は、支給額は5万円となります。

申請方法
男性育児休業取得応援手当の申請方法について、具体的に解説します。この手当は、静岡県内の中小企業等に勤務する男性労働者が対象で、育児休業を促進し、共働き・共育てを推進する目的で設けられた制度です。
申請者区分
申請者の状況により、申請方法が異なります。大きく分けて以下の3つの区分があります。
- 申請時点で支給要件を満たす育児休業を取得済みであり、育児休業給付金支給決定通知書を提出できる者
- 申請時点で支給要件を満たす育児休業を取得済みであるが、育児休業給付金支給決定通知書を提出できない者
- 申請時点で支給要件を満たす育児休業を取得中である者、または取得する予定がある者
申請の流れ

申請の流れは、申請者区分ごとに異なりますが、一般的な手順は以下のとおりです。
- 申請書類提出: 申請者が必要書類を準備し、提出します。
- 申請書受理・審査: 提出された申請書類は受理され、審査が行われます。
- 交付決定(確定): 審査により要件を満たしていると判断された場合、支給が決定されます。
- 支払: 決定後、手当が支払われます。
申請受付期間
- 申請受付期間は、申請者区分ごとに定められており、予算に達した場合は受付を終了することがあります。具体的な期間は、公式の案内を参照してください。
申請書類
申請には以下の書類が必要です。
- 静岡県男性育児休業取得応援手当支給申請書(様式第1号)
- 育児休業取得(見込)証明書(様式第2号)
- 住所が確認できる書類
- 振込口座確認書類
- (出生時)育児休業給付金支給決定通知書の写し(該当する場合)
- 雇用保険被保険者証の写し
- 育児休業の取得(予定)日を確認できる書類
- 出産予定日や出生日を確認できる書類
- 賃金の額と支払状況を確認できる書類
区分別に準備するもの
| 申請者区分 | 準備する者 |
|---|---|
| 申請時点で支給要件を満たす育児休業を取得済みであり、育児休業給付金支給決定通知書を提出できる者 | - 育児休業給付金支給決定通知書の写し- 育児休業取得(見込)証明書- 雇用保険被保険者証の写し- 賃金の額と支払状況を確認できる書類- 出産予定日や出生日を確認できる書類 |
| 申請時点で支給要件を満たす育児休業を取得済みであるが、育児休業給付金支給決定通知書を提出できない者 | - 育児休業取得(見込)証明書- 雇用保険被保険者証の写し- 賃金の額と支払状況を確認できる書類- 出産予定日や出生日を確認できる書類 |
| 申請時点で支給要件を満たす育児休業を取得中である者、または取得する予定がある者 | - 育児休業取得(見込)証明書- 雇用保険被保険者証の写し- 賃金の額と支払状況を確認できる書類- 出産予定日や出生日を確認できる書類- 実績報告書類(取得後に提出) |
この表は、男性育児休業取得応援手当の申請にあたって準備が必要な書類を、申請者の状況ごとに整理したものです。申請書類の詳細や提出方法については、具体的な要件や指示に従ってください。
申請先
申請は、郵送または持参により、静岡県健康福祉部こども未来局こども未来課少子化対策班宛に行います。
よくあるQ&A:男性育児休業取得応援手当について
Q1: 中小企業等とは具体的に何を指しますか?
A1: 中小企業等は、常時雇用する従業員数が300人以下の法人や個人事業主を指します。これには、株式会社、特例有限会社、士業法人(弁護士法人、税理士法人など)、一般社団法人、労働者協同組合、公益法人(医療法人、学校法人など)、協同組合(中小企業等協同組合、農業協同組合など)、特定非営利活動法人が含まれます。
Q2: 常時雇用する従業員とはどのような従業員ですか?
A2: 常時雇用する従業員には、期間の定めなく雇用されている者や、一定の期間を定めて雇用されているが、その雇用期間が反復更新され、過去1年以上引き続き雇用されている者が含まれます。
Q3: 県内に住んでいて、県外の中小企業に勤めています。申請できますか?
A3: はい、県内に住所がある方は、勤務先の所在地に関わらず申請できます。
Q4: 県内の中小企業に勤めていて、県外に住んでいます。申請できますか?
A4: 申請対象は、県内に住所がある方のみです。従って、県外に住んでいる方は申請できません。
Q5: 会社の役員でも、応援手当を申請できますか?
A5: 会社の役員は原則として対象外ですが、雇用保険の被保険者であれば申請可能です。役員であっても従業員としての身分を有し、雇用保険に加入している場合は、申請の対象となります。
Q6: 対象となる育児休業の種類は何ですか?
A6: 育児・介護休業法に規定される育児休業(出生時育児休業を含む)が対象です。
Q7: 年度をまたいで育児休業を取得した場合、応援手当は申請できますか?
A7: はい、支給要件を満たす育児休業を取得していれば、年度をまたいでの申請も可能です。ただし、支給対象は各年度に取得した育児休業日数に基づきます。
Q8: 育児休業は分割して取得しても良いですか?
A8: はい、分割しての取得も可能です。重要なのは、支給要件を満たす14日以上の育児休業を取得していることです。
Q9: 育児休業期間中に含まれる休日は、対象の育児休業日数に換算できますか?
A9: はい、換算できます。育児休業期間中の週休日や祝日なども、育児休業の日数に含まれます。
Q10: 育児休業期間中に一時的に就労した場合、その日は育児休業の日数に換算できますか?
A10: いいえ、就労した日は育児休業の日数に換算できません。
Q11: 派遣労働者の場合、申請書類の勤務先名称は派遣元と派遣先のどちらを記入すれば良いですか?
A11: 雇用契約を結んでいる企業、つまり派遣元企業の名称を記入してください。
Q12: 他の助成金の受給があっても、応援手当を申請できますか?
A12: はい、申請可能です。ただし、他団体の制度で併給が禁止されている場合もあるため、事前確認が必要です。
まとめ
男性育児休業取得応援手当は、育児休業による収入減をサポートし、男性の育児参加を促進するための大切な制度です。育児休業を検討している男性はもちろん、企業の人事・総務担当者もこの制度を理解し、積極的に活用していくことが望まれます。社会全体で育児参加を支援する文化を育むことが、今後の日本社会にとって重要な課題の一つと言えるでしょう。



最新記事一覧
コメント