Q1
- 私は飲食店に正社員として勤務していたところ簡単な珪砂ミスをしてしまいました。その後解雇を告げられたのですが、このような解雇は出来るの?
- 私は会社と1年の有期労働契約を締結し、飲食店に勤務しています。先日、皿を割ってしまったところ、店長が怒って、来月から来なくて良いと言われました。会社とは契約期間が3か月残っているのですが、解雇されてしまうのでしょうか。
- 私の会社では業績が悪化してきたことから、社員2名を解雇することにしたところ、当該社員から解雇の前に社長の給与を減らすべきだと言われました。 会社の経営を安定させるため、役員報酬のカットは行わず、適正な人員にしたいと考えていますが、今回のような整理解雇はできる?
- 私は、パートとして現在の会社に勤めており、これまで6か月間の労働契約を2回更新し、通算1年6か月働いています。 しかし、契約期間満了の1週間前になって突然契約を更新しないことを告げられ、困惑しています。 会社は、契約を更新してきた者に対して、前もって契約を更新しないことを告げなくてもいいいの?
私は飲食店に正社員として勤務していたところ簡単な珪砂ミスをしてしまいました。その後解雇を告げられたのですが、このような解雇は出来るの?
会社は、些細なミスのみを理由として解雇することはできません。
解雇については、以下のとおり様々なルールがあります。
会社は、些細なミスのみを理由として解雇することはできません。
解雇については、以下のとおり様々なルールがあります。
1 解雇事由に関する定め
ただし、これは解雇が有効であることが前提です。使用者は、労働者に解雇予告手当を支払っても、法定の解雇禁止事項以外に、無期契約労働者の場合については、労働契約法上、①客観的に合理的な理由、②社会通念上相当性がなければ解雇はできません。また、有期契約労働者の場合には、「やむを得ない事由がある場合」でなければ、契約期間中に解雇することはできません。
2 解雇権濫用法理による解雇の制限
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とされます(労働契約法第16条)。これを解雇権濫用法理と言います。
- ア 労働者の労務提供の不能
- イ 労働能力、適格性の欠如・喪失
- ウ 労働者の義務違反、規律違反等
- エ 使用者の業績悪化等の経営上の必要性
- オ ユニオンショップ協定に基づく解雇
ただし、ア、イについては、病気により休職していた従業員の復帰のための予備期間や、改善のための教育訓練、他部署への配置転換など、解雇の回避に向けた努力が行われていることが必要とされた判例があります。 なお、管理職については、これらにかかわらず、その職務についての適格性を欠く場合には、他の職への降格等を考慮しなくとも直ちに解雇権濫用に当たるとはいえないとされた判例もあります。
3 法令により解雇が禁止される主な場合
以下のような場合には法律により解雇が禁止されています。
(1)労働基準法(第19条)
ア 労働者が業務上負傷したり、病気になった場合、その療養のために休業する期間及びその後30日間
イ 産前産後休業期間及びその後の30日間
※ただし、使用者が打切補償を支払った場合や、天変事変などやむを得ない事由により事業が継続できなくなった場合を除きます。
(2)労働組合法(第7条)
労働組合の組合員であることなどを理由とする解雇
(3)男女雇用機会均等法(第6条)
性別を理由とする解雇、女性労働者が結婚・妊娠・出産・産前産後休業したことなどを理由とする解雇
(4)育児・介護休業法(第10条、第16条)
労働者が育児・介護休業を申し出たことまたは休業したことを理由とする解雇
解雇予告手当
Q2
私は会社と1年の有期労働契約を締結し、飲食店に勤務しています。先日、皿を割ってしまったところ、店長が怒って、来月から来なくて良いと言われました。会社とは契約期間が3か月残っているのですが、解雇されてしまうのでしょうか。
有期労働契約の場合は、やむを得ない事由がなければ期間満了まで会社から解雇されることはありません。
●有期労働契約者の解雇
労働契約法では、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができないとされています。(同法第17条第1項)
やむを得ない事由がなければ、会社は、期間満了前に当該労働者を解雇することができません。
なお、契約期間途中の解雇については、期間の定めのない契約における解雇と同様、合理的な理由があり、社会通念上の相当性がなければ解雇することができない解雇権濫用法理が適用されますが、有期労働契約においては、より厳格に解雇の有効性が判断されます。
Q3
私の会社では業績が悪化してきたことから、社員2名を解雇することにしたところ、当該社員から解雇の前に社長の給与を減らすべきだと言われました。 会社の経営を安定させるため、役員報酬のカットは行わず、適正な人員にしたいと考えていますが、今回のような整理解雇はできる?
解雇回避の努力を尽くした上でなければ、整理解雇はできません。
1.整理解雇とは
整理解雇とは、使用者が不況や経営難などの経営事情により生じた人員削減の必要性に基づき、労働者を解雇することです。
整理解雇について、合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ解雇が無効となる解雇権濫用法理が厳格に適用されます。
2.整理解雇の4要件
整理解雇を行うためには、過去の裁判例等では概ね次の4つの判断基準(4要件又は4要素という。)を満たすことが必要とされています。
2.整理解雇の4要件
高度の経営上の困難やその他の企業経営上やむを得ない理由など、整理解雇がやむを得ないものと認められることが必要です。したがって、使用者が人員削減の後に多数の新規採用や大幅な賃上げなど明らかに矛盾する行動をとった場合には、人員削減の必要性が存しないと判断される場合もあります。
(2)解雇回避努力を尽くしたこと
希望退職の募集などの解雇を回避するための努力を尽くしたと認められることが必要です。
(3)被解雇者選定の合理性があること
被解雇者の選定に当たり、客観的で合理的な選定基準を事前に設定し、公正に適用することが必要です。
(4)手続の妥当性があること
使用者は、労働者や労働組合に対して整理解雇の必要性やその内容、被解雇者の選定基準、解雇・退職条件などについて納得を得るよう説明を行い、誠意をもって協議することが必要です。
特に労働組合との関係においては、労働協約に整理解雇について使用者と協議する旨の規定があれば、十分な協議を経ないで行われた整理解雇は無効となり、そのような規定が無い場合でも団体交渉には誠実に応じなければなりません。
Q4
私は、パートとして現在の会社に勤めており、これまで6か月間の労働契約を2回更新し、通算1年6か月働いています。 しかし、契約期間満了の1週間前になって突然契約を更新しないことを告げられ、困惑しています。 会社は、契約を更新してきた者に対して、前もって契約を更新しないことを告げなくてもいいいの?
通算勤務期間が1年を超えるので、会社は契約期間満了日の30日以上前までに契約を更新しないことを予告しなければなりません。
1.契約更新の有無の明示
有期労働契約については、契約更新の繰り返しにより一定期間雇用を継続したにもかかわらず、突然、契約期間満了時に使用者が契約の更新を拒否する、いわゆる「雇止め」をめぐるトラブルを防止するため、使用者は、契約締結時に更新の有無を明示しなければならないとされています。
また、更新する場合があると明示したときは、契約を更新する(または更新しない)場合の判断基準も明示しなければなりません。
2.雇止めの予告
雇止めしようとする有期労働契約が以下のいずれかに該当する場合は、雇止めの日の30日以上前に労働者に雇止めを予告する必要があります。
- (1)有期労働契約が3回以上更新されている場合
- (2)1年以下の有期労働契約が更新または反復更新され、通算1年を超える場合
- (3)1年を超える有期労働契約を締結している場合
3.雇止めの理由の明示
雇止め予告後又は雇止め後に、労働者から雇止め理由の証明書を請求された場合は、使用者は遅滞なく交付しなければなりません。
4.有期労働契約の雇止め
- (1)過去に反復更新された有期労働契約で、その契約期間満了時に更新しないことが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
- (2)労働者が、有期労働契約の契約期間の満了時に労働契約が更新されると期待することについて合理的な理由があると認められるもの
(1)、(2)のいずれかに該当し、労働者が契約の更新又は締結を申し込んだ場合に、使用者がその申込みを拒否することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、従前の労働条件と同じ労働条件で労働者の申込みを承諾したものとみなされます(労働契約法第19条)。
有期労働契約の民法上の原則
有期労働契約は、契約期間の満了をもって終了するのが民法上の原則です。 ただし、契約期間満了後、契約更新がないまま引き続き労働に従事し、使用者からも異議がなかった場合には、黙示の更新があったものとされ、従前と同じ労働条件で雇用されたものと推定されます(民法第629条第1項)。
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